2014/09/18
一日のストレスや疲れを洗い流してくれる入浴は日本人にとって毎日欠かすことのできない大切なことです。入浴の生理作用は体を温める、体内を圧迫する、体重量を軽減するといった効果があります。こういった作用による体の反応を知らずに自分にとってマイナスの入浴法を毎日行うことなどで、最近では浴室事故などが少なからず報告されることにより、適切で効果的な入浴法は健康維持うえでとても大切なことであるといわれてきています。
温度は、そもそも日本人は42℃から43℃の高温浴を好みます。寒いときは湯冷めの防止、入浴後の寒い脱衣所の爽快感、そして老化による温度感覚低下も原因のひとつです。入浴時の温熱刺激による血圧の変化、自律神経の反応、血液の粘稠性の変化(つまりドロドロ血)を考えると、高齢者の場合は39℃前後の微温浴がよいでしょう。
入浴の姿勢は寝たままの洋式と座ったままの日本式がありますが、洋式より日本式のほうが圧力負荷は大きいといわれます。これは心臓の負荷が大きいということになり、心臓や血管の病気、高血圧などを抱えていることが多い高齢の方などは軽視できない作用といえます。これは洋式のほうがよいという結論になりますが、半身浴のような胸のレベルの水位でも十分といえます。
入浴時間と回数は夕刻は微温浴、朝は高温浴が適しています。夜間入浴は温度の感受性が高まるといわれています。健康な成人は39℃、13分の一回入浴ができますが、保温性を考えると、例えば5分入浴、3分出浴、8分入浴の分割入浴が効果的とされます。この分割入浴は心臓の負荷が軽いので、高齢者ではおおいにおすすめです。
入出浴の一連の過程で血圧は大きく変化を示します。動脈硬化などが進んでいる高齢の方は血圧の変動には十分注意が必要です。入浴前の頭や腕と足などの部分浴は入浴時の血圧上昇程度を和らげるので、高血圧のある方や高齢の方は特におすすめします。入浴中の動作運動は急激な血圧上昇を招くので注意してください。出浴時の急激な血圧下降をおさえるためにはゆっくりとした出浴を心がけて浴槽から出た腕に冷水をかけるのもよいでしょう。寒冷時期の脱衣室は血圧の急上昇を起こすので、暖かくする必要があります。出浴後は低血圧状態がつづくので、30~60分は横になって安静を保ち、水分400~500ml(イオン飲料がベター)の摂取を心がけましょう。高齢の方は飲水に積極でないきらいがあるので注意してください。
入浴後は皮膚の皮脂膜がなくなり、保湿物質、細胞間脂質は溶け出して、皮膚からの水分蒸散が盛んで乾燥します。もともと乾燥しやすい高齢の方は入浴剤(自分にあった漢方入浴剤など)や入浴後のスキンケアーを心がけてください。